メガ氏が自宅の一室で発明品の試用をしていた。
「君も椅子に掛けてくれ。しばらく見ていてもらいたい」
同伴者にそう言って、メガ氏は両手を二回鳴らした。
合図を聞きつけて、執事がドアを開けて現れた。
身体が金属で出来ているから、ロボットであることがわかる。
「コーヒーを一杯淹れてくれ」
メガ氏が指示をした。執事は即座に準備を終えてどうぞ、と言ってからコーヒーを机に置いた。
「この執事は最近作ったロボットだ。こっちも試用段階だが、今日試したいのは他のロボットだ」
執事は動作だけを見れば、なかなか人間らしかった。執事は礼をして下がっていった。
二人を挟んだ机の真ん中に、一杯だけコーヒーを置いて。
メガ氏は手元へゆっくりとコーヒーカップを寄せていった。
コーヒーを出されない同伴者は、客人として招かれたわけではなかった。
そしてメガ氏は世間話をし始めたが、同伴者に見せるであろう発明品の説明はしなかった。
しばらく話をしていると、同伴者はメガ氏に違和感を感じ取った。
注意深く観察してみると、メガ氏の言葉は不自然なほどイントネーションが一定だった。
「そうか。あなたはロボットだ」
机の向こうで、メガ氏は無言の反応をした。
「自分に似せて作ったロボットで、僕が気付くかどうかを試そうとしているんだ」
応えたのは物陰から出てきたメガ氏だった。
「君は察しがいいな。どうしてわかったんだい」
メガ氏は、自分を模したロボットと並んで椅子に座った。
「さっきはぎこちない所があったから気付いたんだ」
「それは喋り方がかい、それとも動作がかい」
メガ氏はとなりのコーヒーカップをスッと引き寄せた。
「色々とだよ。いまこうして本人と比べてみると違いがよくわかる」
それだけ聞いて、メガ氏は何も応えなかった。
「と、いうことは今度は気付かなかったようだな」
突然ドアを開けて、さらに一人メガ氏が現れた。
メガ氏は本物さながらの動きで椅子に座り、コーヒーカップを自分の方へ。
次から次へ現れるメガ氏に、同伴者はわけがわからなくなり機械音を立て始めた。
メガ氏は同伴者の耳に手をやり、スイッチを切った。
やはり、不可解な出来事にあうと行動不能になってしまう。
試用と調整を繰り返さないといけないようだ。
「やれやれ。三人目が出てくるとは思わなかったか。
ロボットと入れ替わっているのに気付いたのはよかったがな」
メガ氏はロボットのメガ氏のスイッチも切り、少しぬるくなったコーヒーを手繰り寄せて飲んだ。
「私は働き者です。いつもここに立ってあなたがジュースを買うのをお待ちしておりますよ」というおべんちゃらを使う。
僕が見てない時はサボってるくせに。サボってるどころか、僕が外に行かない日には手足を出してロボットに変形し僕を監視しているくせに。
そして近所中に僕の悪口をふれまわる。あいつはありがとうございました以外もしゃべれるんだ。
1度だけあわれでございますなと言ったのをきいたことがある。僕の悪口を言ってるんだ。
四六時中僕を監視して、僕が来そうになったらサッと戻る。そして何食わぬ顔だ。
証拠はたくさんある。まず、なぜ僕の好きなジュースがすぐになくなるのか。それは嫌がらせだ。暴暴茶の味に慣れた頃、わざとラインナップから消すとは。ひどいにも程がある。
寒い日に「あたたかい」を押したのにもかかわらず「あんまりあたたかくない」が出ることもある。むごい時にはポッカコーヒーの顔が僕をバカにしている時まである。
釣銭口に100円玉が入っていたことがあったが、あれは「おい貧乏人。100円くれてやるから取れよ」ということか。
頭に来て1000円札をねじ込んだら「お前みたいな貧乏人が1000円持ってくるなんて、ニセ札に決まってる」と受けつけない。何度泣いたことか。
いつか尻尾をつかんでやろうと思い、フェイントをかけてふり向いたり、真夜中に家を飛び出したりしているがタッチの差でとぼけられる。
そして何食わぬ顔だ。きっとあのことを根に持ってんだろう。子供の頃じゃないか。
引用元:https://5ch.net/
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