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127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/08(土) 16:50:59.86 ID:QCh586Pg0
エヌ氏が買い物から帰ると、家の前に不審な男が居た。こちらには気づいていない。 
様子を見ていると、玄関の鍵穴に針金のようなものを差し込もうとしていた。 

「何をしている! 警察を呼ぶぞ!」 
エヌ氏が怒鳴り声を上げて近づくと、男は慌てる様子もなく、丁寧に話し始める。 
「失礼しました。ご不在のようでしたので。私こういう者です」 
手渡された名刺には、空き巣対策商品販売部とある。 
「先日、お手紙をお送りしたと思うのですが、本日は試供品をお届けに参りまして」 
そういえば、そんな手紙を受け取った気もする。エヌ氏はまだ納得がいかなかったが、 
相手があまりにも悪気がなさそうに話すので、拍子抜けしてしまった。 

「まあ、立ち話もなんだし、中でお茶でも」 
エヌ氏は男を応接室に招き入れることにした。 
「この辺りは人通りも少なくてね、今日も防犯グッズを買って来たところなんだ」 
エヌ氏は買い物袋を見せて、台所に向かう。 
「どうぞ、お構いなくー。最近は防犯商品も色々開発されてますけれど……」 
男は応接室で大声で話し続ける。 
「空き巣の側の道具も増えて、いたちごっこの世界でして……」 
男はスーツケースを開けて、試供品をテーブルに並べた。 

「こちらが試供品になります」 
エヌ氏が応接室に戻ると、色々な商品がテーブルに並んでいた。見たこともないものばかり。 
「さすがは新商品のようだね。これはどうやって使うのかな」 
エヌ氏がボーリングの玉のような物を指さすと、男は説明を始める。 
「こちらはこちらに指を入れまして、どうぞ。ええ、両手の指を入れまして」 
「おお。あれ、指が取れなくなったぞ。おいおい」 
「大丈夫です。続いてこちらのロープで足などを縛りまして」 
「ありゃ。動けなくなったぞ」 


男はエヌ氏に猿ぐつわを噛ませると、悠々とお茶をすすりながら、部屋を物色した。
戸棚に名刺入れが見える。目がかすみ、体がしびれ始めた。
名刺には、テロ対策薬物開発部とあった。 


引用元:https://5ch.net/