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320: 創る名無しに見る名無し:2011/03/04(金) 13:42:12.83 ID:lEcKrWVG

真夜中に目が覚めた。こんな事を言っても誰も信じられないだろうが、
天井に悪魔がいてボクに話しかけた。 
「オマエに特別な能力を与えよう」 

夢だと思っていたボクは驚きもせずに聞き返した。 
「特別な能力?それはなんだい?」 
「夜の21時にウソをついてみろ。それが本当になる」 
「ウソが本当になる?」 
「そうだ。ただし今日から3日間、毎日必ず21時にウソをつけ。3日間だけウソが本当になる。」
 
悪魔は続ける。 
「唐突にウソをついてはいけないぞ。その時の会話の流れの中でウソをつくんだ。そうしなければ…」 
「そうしなければ?」 
「オマエの命を頂く。」 
命を頂く?まったく悪魔らしいセリフだな。 
「オーケー。分かった。ボクは3日間必ずウソをつくよ。でも、21時に話す相手がいなかったら?」 
「心配するな…必ず誰かがオマエに話しかける。取り引き成立だな…」 


目覚ましが鳴り響く。夢か。まぁ、当然だけど。悪魔なんかいるわけない。
一日の仕事を終え、家に帰る。いつものように簡単な食事を済ませ、お風呂に入ろうとすると、電話が鳴る。 
「もしもし?元気にしてる?」 
実家の母親からだった。 

母は女手1つでボクを育ててくれた。何気ない会話が続く。 
「ところでアンタ、結婚はまだなのかい?」 
痛い所を突いてくる。結婚どころか彼女すらいない。
母親の期待に応えられない返事をしようとすると、
急に目の前が暗くなり、頭の中で『ウソをつけ。』と声が聞こえた。 

「彼女?あぁ、いてるよ。見た目も器量もよくて、きっと気に入ってくれると思うよ。」ボクは無意識にそう話した。 
「あぁ、そうかい。楽しみにしてるよ。」母親は電話を切った。
なんだ?今のは…昨日の夢に出てきたのは本当に悪魔だったのか?
次の日、彼女が出来た。信じられない。本当に彼女が出来た。
モデルの様な容姿で、器量もいい。悪魔は本当にいたんだ… 

2日目は自分から母親に電話を掛けた。 
「もしもし?あのさ、急だけど、明日実家に行ってもいいかな?」 
「どうしたの?急に。」 
「昨日言ってた彼女を紹介したくてさ…」 
「アンタ、本当に彼女がいたのかい!?てっきり冗談だと思ってたよ!!」 
「ホントに彼女がいるんだって。」 
「まさか、アンタ結婚するつもりなのかい?」 
「さあ?でも一応紹介しとこうと思って…」 
「そうだろうね…なんせアンタ貯金がないだろ?」 

また頭の中で声が聞こえた。 
「貯金?それが、あるんだよ。一生遊んで暮らせるくらいの貯金がさ。」 
また無意識にウソをついていた。 
「ああ、そうかい。それじゃ切るよ。明日は楽しみにしとくから。」 
翌日、通帳を開くと見たこともないような金額が記帳されていた。この2日で彼女と富を手に入れた。
 
あとは今日、1つだけウソをつけば明日からはバラ色の日々だ。ボクは彼女を連れて実家に帰った。 
TVを観ながら3人で食事をしているとニュースが流れていた。
どうやら21時になったらしい。トップニュースは遠くの国で戦争が起きた事と
その国は核兵器を隠し持っている可能性があることを報道していた。 

「はぁ…またこんなニュースかい…この世界はどうなっちまうんだろうねぇ……」 
頭の中で声が聞こえた。ここでウソをつけば、バラ色の日々が始まる。 
しかし、どのようなウソをつけばいいのか分からない。
考えても、考えても答えるウソが出てこない。このままでは悪魔に命を取られてしまう… 

何かウソをつかなきゃ…何か…完全にパニックに陥っていた。
どうしよう…何て言えばいいんだ?この地球はどうなる?どうなるんだ!? 
ボクは無意識にこう言っていた。 
「この世界はもう終わりだね」 
母親はうっすら微笑んでいた。 


引用元:https://5ch.net/