youtube-2617510_1280


344: 17歳:2011/03/31(木) 21:12:38.93 ID:nNCIenOo

「やりたいことは、見つかりましたか??」 
テレビの画面から、17歳の私が語りかけてくる。 
私はその声を聞きながら、やりたいことをイメージしてみるが、どうもうまくいかない。 

日々ぼんやりと流れるままに過ごしている私には、少々酷な質問だ。 
獣医さんになりたいと考えたことはあるが、それは単に動物が好きだからであって、 
一生をその仕事に捧げる覚悟があるか、と問われると簡単には「はい」と言えない。 
ぼんやりしていると、また17歳の私が問いかけてくる。 
「もしかして、結婚してたりしますか??なんちゃって」 

なにが「なんちゃって」だ。17歳の私にはユーモアのセンスがない、と私は残念に思った。 
画面の中でニヤニヤしている17歳の私を、私は睨みつけてやった。 
もちろんそんな目線を彼女が感じることはあり得ないのだが。 
この質問に答えるまでもなく、私は結婚などしていない。 
それがわかっているからこそ、少し腹立たしかった。 

「隣の席のK君とは、どうですか??」 
まただ。 
K君とは、大失敗したバレンタインのあの日から一言も喋ってない。 
「どうせわかってるくせに……」 
私のつぶやきは、画面の向こうには届かない。 

K君とうまくいく保証など最初からなかったのだ。 
どうせ彼は隣のクラスのSちゃんといい仲だったじゃないか。 
自分でもわかっていたじゃないか。 
「ふぅ……」 
ついつい、ため息が出てしまう。 

「この先のことはまだ分からないけど……」 
17歳の私は少しはにかんで、次の言葉を探している。 
「今日は元気です」 
にっこりと、恥ずかしそうに、そう呟いた。 

ビデオはそこで終わった。 
今日は元気です、か。それが聞けただけでも、とりあえずは見た意味があるというものだろう。 
それにしても便利な世の中になったものだ。未来からのビデオレターが発明される日が来るとは。 
私は伸びをしてから、今日の分の宿題をランドセルから取り出し、机に向かうことにした。 


引用元:https://5ch.net/