エス氏はかつて著名な作家だった。数々のヒット作を生み出し、多くの人から支持されていた。
しかしそれも昔の話。年老いた今は昔の印税で細々と暮らしていた。
ある日、エス氏の元にスーツ姿の男が訪ねてきた。
「怪しいものではありません。あなたにぴったりの商品がありまして…」
男がそう言って見せてきたのは、分厚い本だった。そして、その中身はカレンダーになっていた。
「変わったカレンダーですね。それに年数も100年分はある。私には必要ありません」
「まあ説明を聞いてくださいよ。この表紙に名前を書くと、その人の人生の注目度が0から100まで数値化されるのです。試しに名前を書いてみてください」
エス氏は半信半疑で名前を書いた。すると驚く事に、日付の欄に『90』や『86』といった数字が浮かび上がった。
「ほう…あなたは以前かなり注目されていたようですね。ですが、ここ10年程はずっと数値が『0』です」
「これはすごい…!と、ところで、これから私が注目される事はあるんでしょうか」
「それが見たいのであれば、商品代をお支払い下さい」
エス氏は考える間もなく支払った。
「どうやら、あと一週間後に注目度が『10』になるようですね。ですがそれ以降はまた『0』に戻るようです」
エス氏は嬉しかった。人から支持されるのはいつ振りだろうか…。
それから一週間、彼はその日を待ち望んだ。
一週間後
《えー、速報が入ってきました。有名作家のエス氏が自宅で亡くなられたとの事です。ご冥福をお祈りします…》
引用元:https://5ch.net/
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